第二話 彩葉、体調をくずす




次の日。
ただひたすらに船は太平洋を西へ行く。
上海までは船でまる2日かかるのです。

船内には鑑真和尚の絵が掛かっていました。(右の絵)
鑑真は日本への渡航に5回も失敗したらしい。
それを考えれば贅沢は言ってられないが、船はやはり揺れる。
しかも夜は寒かったし、昨日物珍しげにデッキにばかり出て風に吹かれていたためか、彩葉ちゃんは朝から体調不良の様子。
鼻水ばかり出してます。

結局、お母さんと船の医務室へ行くことに。
ヒマそうな日本語のできないドクターに彩葉ちゃんは元気のない声で。

 「気分が悪いです。

これを中国語で言うと(中国語をクリック)


ドクターは結局、バファリン(風邪薬)をくれました。


彩葉ちゃんがおとなしくテレビを見ていると、お婆さんが話しかけてきました。
歯の治療(入れ歯)のために時々上海から大阪に行っているらしい。
もともと日本人で岡山出身だが中国人と結婚して中国での暮らしが長いらしい。
中国人の夫は国民党の人だったが台湾には渡らず、共産党との内戦の時に亡くなったという。
夫は台湾からは英雄だが、中国では大悪人になっているそうだ。
彩葉ちゃんのオレンジ色のセーターを色がいいと言っては盛んに褒める。
中国の服はデザインがよくないと言う。
お婆さんは上海の話をいろいろする。
花園ホテルのコーヒー(50元)がいいと5回も言った。
そこのホテルに入っている三越の絹製品はいいと3回程言った。
彩葉ちゃんの泊まる予定の上海大厦は外見はよくないが、中はきれいにしてあると2回言った。
日本に出稼ぎに来ていた中国人の女の子たちは、日本に行く時は田舎っぽい格好だったのが3年経って中国に帰る時は、日本人みたような格好になってると言った。
結局、小学2年生の彩葉ちゃんには難しすぎる話でよく分かりませんでした。


そのうち、波はいよいよ高く、船は大揺れになってきました。
彩葉ちゃんの体調も最悪に。
彩葉ちゃん顔色を変えておもわず

 「吐きそうです。

これを中国語で言うと(中国語をクリック)


トイレにかけこんで、しこたまゲロを吐いた彩葉ちゃんでした。(第二話おわり)